レスター<3156>、PCIホールディングス<3918>をTOBで子会社化

レスターは8月9日、組み込みソフトウェアやその他のIT製品の開発を手掛けるPCIホールディングスに対して株式公開買い付け(TOB)を実施し、子会社化する計画を発表しました。現在、レスターはPCIに対して5.83%の出資を行っていますが、今回のTOBを通じてその出資比率を50%以上に引き上げる予定です。買付代金は54億2100万円に上り、親会社としてPCIとの業務連携を強化し、両社の協力体制を深化させる狙いです。これにより、両社が強みを持つ車載、産業機械、ICT(情報通信技術)市場の開拓や、海外市場、民生機器、建設機械、セキュリティ分野における相互補完を目指します。なお、TOB成立後もPCIの東証スタンダード市場への上場は維持されます。

TOBにおけるPCI株の買付価格は1株あたり1210円で、これはTOB公表前日の終値849円に対して42.52%のプレミアムが加えられています。買付予定数は最大でPCIの株式の44.67%に相当する448万株となり、買付期間は8月13日から9月20日の28営業日間、決済開始日は9月27日を予定しています。公開買付の代理人はSMBC日興証券が務めます。

PCIは、このTOBに賛同を表明していますが、TOBへの応募については各株主の判断に委ねる方針を示しています。また、PCIの創業者で会長の天野豊美氏およびその親族が経営する資産管理会社Y&U(東京都千代田区)が所有する5.64%の株式については、TOBに応募する予定です。

PCIホールディングスは2005年にM&Sとして設立され、ITシステムの開発・運用に着手しました。2006年には持株会社制へ移行し、2007年に現在の社名に改称しました。2015年に東証マザーズに上場し、2016年には東証1部に昇格しましたが、2022年4月に東証プライム市場へ移行した後、2023年10月には東証スタンダード市場へ上場先を変更しました。

レスターは2018年にPCIと資本業務提携を行い、部材調達や営業支援、技術サポートなどで協業を進めてきました。しかし、両社の資本関係が緩やかであったため、目指す方向性や利害の一致が難しく、取引先の延長としての関係にとどまり、相乗効果の創出には限界があったとしています。