タツタ電線へのTOB、ENEOSが買付期間を延長

ENEOSホールディングスは19日、傘下のJX金属(東京都港区)を通じて実施中のタツタ電線に対する株式公開買付け(TOB)について、買付期間を当初予定の終了日から10営業日延長し、8月2日までとすると発表しました。タツタ電線の株価が買付価格の1株720円を上回る状況が続き、TOB成立が困難であると判断されたためです。なお、買付価格はタツタ電線の企業価値を十分に反映しているとし、変更は行われていません。19日のタツタ電線の終値は前日比4円高の730円でした。

ENEOSは2022年12月にタツタ電線をTOBで完全子会社化する計画を発表しており、当初は2023年6月のTOB開始を目指していました。しかし、中国当局の審査が長引いたため、予定より1年遅れて今年6月21日に買付けが開始されました。

現在、ENEOS傘下のJX金属はタツタ電線株の約37%を保有しており、同社を持ち分法適用関連会社としています。TOBにより残る株式を取得し、買付代金は最大281億円に上る見込みです。今回のTOBは、資源不足・枯渇の深刻化や国内市場の縮小など、非鉄金属産業を取り巻く環境変化に対応し、成長分野である電子材料関連事業の基盤拡充を狙いとしています。